心の空のまちから

クレヨンしんちゃんのまち“かすかべ"には“心の空”が広がっています!!

“様子がいい”ってどんな様子?(映画編)

目次

前回の続き

前回、様子がいいと言う言葉は、主に若い男性の外見や容姿を表現する言葉と書きましたが、男性に限った表現ではないことが思いがけずわかりました。

男はつらいよ第15作

今回は、そんな話を、毎週末BSテレ東で再放送中の「男はつらいよ」シリーズ第15作『男はつらいよ  寅次郎相合傘』(BSテレ東2020/7/10再放送)の一シーンから。

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映画館
あらすじ

まずは、この作品のあらすじをかいつまんで、

2年ぶりに、寅さんに会いに柴又のとらやにやってきた浅丘ルリ子演じる歌手のリリーさん。例によって、寅さんは、旅に出ていていません。リリーさんは、寅さんの妹さくらさんにお寿司屋の主人と離婚したこと話し、寅さんに会えるかもと、北の方へドサ回りの旅に…

その言葉通り、偶然にも北海道・函館のラーメン屋の屋台で寅さんと再会。寅さんが旅の途中で知り合った蒸発希望の中年サラリーマンのパパ(兵藤=船越英二)と三人で、楽しい旅をします。

でも、ちょっとした言葉のやり取りでリリーさんと喧嘩別れ、寅さんは柴又のとらやへ帰ってきます。そして、後を追うようにリリーさんも柴又に。仲直りした二人はしばらくとらやの二階に厄介になることに…

一人語り

そんなある日、リリーさんを仕事場であるキャバレーの楽屋口まで送って行った寅さん、その劣悪な環境を目のあたりし、肩を落として帰って来きます。

深くため息をつきながら「リリーをあんな所で唄わしちゃいけないよ、俺はもう可哀想で、しかも涙が出てきちゃった」、そして「あぁ、俺にふんだんに銭があったらなぁ」と呟きます。

それを聞いたさくらさんが、「お金があったらどうするの?」と聞くと、寅さんは、「リリーの夢を叶えてやるのょ、例えば、一流劇場、歌舞伎座とか、国際劇場とか、そんなとこ一日中借り切ってょ、アイツに好きなだけ唄わせてやりてぇのよ」と答え、「アイツはいい女だょ、それじやなくたって様子がいいしさ、アレは目だってパチっとしていて、はでるんですよ」と、大舞台で歌い上げるリリーさんの姿をおいちゃん、おばちゃん、さくらさん、ひろしさんへ臨場感たっぷりに語って聞かせます。

寅さんの一人語りを楽しそうに笑顔で聞いている四人、そして涙ぐむおばちゃん。寅さんの目にも涙が。

※はでる(と聞こえました)=派手の動詞化、人目を引く、華やか、三重県四日市市四郷地区の方言(?)

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劇場
     

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歌手(リリーさんではありません、念のため)

寅さんが一人で語ってみせるこのシーンは、寅さんのリリーさんに対する切ないまでの想いが、渥美清さんの名演技によって見事なまでに表現されています。まさに名優・渥美清さんの真骨頂のシーンです。

なお、山田洋次監督によれば、後日リリー役の浅丘ルリ子さんがこのシーンを見て涙を流していたとのこと。このシーンに限らず、渥美清さん独特の語り口によってなされる“一人語り”はスタッフの間から「寅のアリア(独唱曲)」と呼ばれていたそうです。(Wikipediaより)

そして、柴又を訪ねて来たパパ(兵藤)が手土産にと持ってきたメロンの分け方を巡ってまたひと悶着(メロン騒動)、その度に仲直りする寅さんとリリーさん。

屈指の名シーン

そして、急な夕立で、(リリーさんが)濡れてはいけないと番傘を持って柴又駅までリリーさんを迎えに行く寅さん。二人仲良く相合い傘で……

二人の姿は映像に映りませんが、"とらや”と書いてある番傘だけが屋根の合間でくるりと回ります。

このシーンは、シリーズの中でも屈指の名シーンと言われています。

なお、この作品で、寅さんはリリーさんと結婚?と思われましたが、最後はお約束の結末に。

寅さんは女性に

古典落語の世界では主に男性に使われているとばかり思っていましたが、寅さんによって、様子がいいを女性(リリーさん)に対して使っていることを知りました。

たった一つシーンで語るのは少しおこがましいとは思いますが、江戸っ子(葛飾柴又の生まれですが)の寅さんにとっては、男性、女性に限らず、寅さん自身が様子がいいと思う人に使う表現、言葉なのでしょうね。

なお、お江戸(関東)では「様子がいい」、上方(関西)では「格好良い(かっこよい)」と表現するそうです。そう言えば、関西では「えぇ格好しい」などと表現しますね。 

曖昧な言葉

この「様子がいい」と言う言葉、「乙ですな」同様、結構曖昧な言葉なので、どの様に様子がいいのかは、はっきりわかりません。聞き手は、ただ想像するしかありません。昔の人は相手の気持ちを慮(おもんばか)ってか直接的な表現を極力避け、曖昧な表現をしていたのかもしれません。

今は、男性女性に限らず、その外見・容姿を直接的に表現す際には言葉を選ばなくてはいけないようです。そんな時、この「様子がいい」を使ってみるのも大人の知恵かもしれません。

でも、今日日(きょうび)、実際に「様子がいい」を使う場面はほとんどありません。

一度使ってみようとは思いますが、そんな人なかなか身近にいません。

 

今はいろいろとあって写真を撮ることもままならず、こんな記事を書いてみました。

 

おわり

 

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*1:イラストは「いらすとや」さんで

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